
2025年5月26日(月)
かしこい情報漏洩対策ツールの選び方

テレワークの普及、クラウド活用の拡大、そしてサイバー攻撃の高度化により、企業の情報は常に漏洩リスクと隣り合わせです。
機密情報の流出は、企業のブランド、信用、売上すべてに直結する深刻な問題です。
とはいえ、「何から手をつければよいかわからない」「どのツールが本当に効果的なのか判断できない」という声も多く聞かれます。
本記事では、情報漏洩の主な原因から、最新の対策ツールの種類・選定ポイント、具体的な実践方法までを網羅的に解説。
自社に合った情報漏洩対策を見極め、着実にセキュリティを強化するためのガイドとしてご活用ください。
情報漏洩は、すべての企業にとって他人事ではないリスク
顧客情報、人事データ、研究開発情報、知的財産──。企業が扱うあらゆる重要情報は、いまやすべてデジタルで管理されています。そのため、ひとたび情報漏洩が起これば、信用の失墜、法的責任、経済的損失など、甚大な被害が発生します。
近年は、サイバー攻撃の高度化により、個人情報や機密データが狙われるケースが急増。過去には、大手企業が数百万件の個人データを漏洩させ、多額の賠償に追い込まれた例もあります。
企業にとって、情報漏洩対策は経営リスクの最前線です。
情報漏洩が起こる主な原因
情報漏洩の原因は、大きく3つに分類されます。
1. 内部要因
- 従業員の操作ミスや不注意
- 悪意のある内部不正
- 情報管理体制の甘さ
2. 外部要因
- フィッシング、マルウェア、ランサムウェアによる攻撃
- 不正アクセスやハッキング
3. 技術的なミスや脆弱性
- セキュリティ設定の不備
- ソフトウェアのアップデート不足
- クラウド設定ミスや暗号化の不備
- ネットワーク構成の甘さ
これらを可視化・管理できるツールの導入が、最初の一歩です。
情報漏洩対策に有効なセキュリティツールとは?
自社のリスクに応じて、以下のようなツールを導入することが有効です。
DLP(Data Loss Prevention)
- 機密データの検出・分類・送信制御
- メールやUSB、クラウドの利用監視
- ポリシー設定で情報持ち出しをブロック
EDR(Endpoint Detection and Response)
- エンドポイント上の異常検知と自動対応
- マルウェアや不審な挙動をリアルタイムで検知
SIEM(Security Information and Event Management)
- 各種ログを収集・分析し、異常を可視化
- AI分析で複雑な脅威を早期に検知
CASB(Cloud Access Security Broker)
- クラウドサービスの利用状況とアクセス管理
- データ暗号化やポリシー管理でクラウドセキュリティを強化
IRM(Information Rights Management)
- 文書やファイル単位でアクセス権を制御
- 外部送信後も追跡・制限可能
ネットワーク監視ツール
- 社内外の通信状況をリアルタイムで監視
- IDSやファイアウォールとの連携で迅速に対処
情報漏洩対策ツールの選び方|5つの評価ポイント
1. 自社のリスクと業界要件に合っているか
金融、医療、ITなど業界ごとに求められる対策は異なる
取り扱う情報の機密性に応じたソリューションを選定
2. 操作性と運用負荷のバランス
複雑すぎるツールは現場で使われなくなる
自動化や直感的なUIを備えたものが理想
3. コンプライアンス対応状況
GDPR、日本の個人情報保護法、HIPAAなどの法規制に対応しているか要確認
4. 既存システムとの統合性
既存のインフラや他のセキュリティソリューションと連携可能か
5. コストとROIの見極め
初期費用だけでなく、運用・教育・保守の費用も含めてROIを評価
企業が実践すべき情報漏洩対策のベストプラクティス
セキュリティ教育の徹底
- 社員への定期的なセキュリティ研修
- フィッシングや内部不正への注意喚起
アクセス権限の適正化
- 最小権限原則(PoLP)の徹底
- 多要素認証(MFA)の導入
脆弱性診断と監査の実施
暗号化とバックアップの強化
- 保存・送信データの暗号化
- 定期的なバックアップとその保護
インシデント対応計画の整備
- 事前の対応フロー設計とチームの設置
- 過去事例の分析と改善策の実装
クラウドセキュリティの強化
- CASBの活用とアクセス制御の最適化
- プロバイダーのセキュリティ対策確認
サプライチェーンの監視
- 外部ベンダーのセキュリティ評価と管理
- 情報共有時の制限と暗号化の徹底
情報漏洩対策は全社で取り組むべき経営課題
情報漏洩は、一度でも発生すれば企業の信頼を大きく損ないます。ツールの導入だけでなく、社内の意識改革とルール整備、教育体制の構築、継続的な見直しが欠かせません。
F-PATでは、企業の情報漏洩リスクに応じた最適な対策ツールの導入をサポートしています。情報セキュリティ対策を強化したい方は、ぜひご相談ください。