2025年9月19日(金)
Webサイトは企業や組織にとって重要な情報発信の場ですが、近年その脆弱性を突いた攻撃が急増しています。中でも深刻なのが「Web改ざん」です。攻撃者が不正にページを書き換えれば、訪問者をフィッシングサイトに誘導したり、マルウェアを配布したりすることが可能になります。ブランド価値の毀損や検索エンジンからの警告表示など、被害は経済的損失だけにとどまりません。
こうした脅威に有効なのが WAF(Web Application Firewall)による攻撃防御と改ざん検知のサポート です。本稿では、WAFの役割や導入形態、注意点を整理し、実際にどう活用すべきかを考えてみます。
Web改ざんは単なる「いたずら」では済まされません。代表的なリスクには次のようなものがあります。
つまり、改ざんは直接的な金銭的損害だけでなく、中長期的な事業継続にも悪影響を及ぼします。
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションを狙う攻撃を防ぐセキュリティ対策です。従来のネットワークファイアウォールやIDS/IPSでは防ぎきれない アプリケーション層の攻撃 に対応するのが特徴です。
防御対象となる代表的な攻撃は以下の通りです。
これらはすべてWeb改ざんの入り口となり得る攻撃です。したがって、WAFは「不正アクセスを防ぐ壁」であり、改ざん防止の第一線を担う存在 といえます。
ここで重要なのは、WAF自体が直接ファイル改ざんを監視するわけではない、という点です。WAFの本質的な役割は 改ざんにつながる攻撃を未然に防ぐこと です。
ただし、一部のWAFや周辺ソリューションは補助的に以下のような仕組みを備えることがあります。
既知の攻撃パターンを遮断することで、改ざんの原因をブロック。
通常と異なるアクセスを検出し、未知の攻撃を早期に把握。
Webサーバ上のファイルを定期的にチェックし、改ざんを見つける。
攻撃や異常を検知した際に管理者へアラートを送信。
つまり、WAF単体で「改ざん検知システム」となるわけではありませんが、攻撃防御と監視機能の組み合わせによって、改ざんリスクを大幅に低減できる のです。
クラウド事業者が提供するサービス型のWAF。インターネット経由で利用するため、導入が容易です。
専用ハードウェアをオンプレミス環境に設置して利用。大規模環境に向きます。
サーバにインストールして利用するタイプ。比較的低コストで導入可能。
レンタルサーバーやクラウドサービスの中には、標準でWAFを提供しているものがあります。ユーザーが特別な設定を行わなくても、自動的に攻撃防御が有効化されるケースが一般的です。
さらに、無料で提供されるケース も増えています。たとえば大手レンタルサーバー(例:エックスサーバー、さくらのレンタルサーバー)やCDNサービス(Cloudflare Freeプラン)では、基本的なWAF機能が標準搭載されています。
まずは無料サービスを積極的に利用することが推奨されます。
その上で、必要に応じて有料プランや高度な機能にアップグレードすれば、コストを抑えながら堅実にセキュリティを強化できます。
WAFは強力な防御策ですが、導入にあたってはいくつかの注意点もあります。
Web改ざんは、利用者を巻き込む深刻な脅威であり、企業の信頼や事業継続に直結するリスクです。
WAFは 改ざんを直接検知する仕組みではないものの、改ざんにつながる攻撃を防御することで結果的に改ざん防止に大きく貢献 します。さらに一部の製品やサービスでは、監視や通知機能を備え、検知のサポートも行います。
導入形態にはクラウド型・アプライアンス型・ソフトウェア型に加え、サーバー業者が標準で提供するサービスもあり、中には無料で利用できるものも存在します。まずはこうした手軽な仕組みを活用し、必要に応じて本格的なWAFへ移行するのが現実的なアプローチです。
セキュリティは「余分なコスト」ではなく「事業を守る投資」です。自社に合った形でWAFを導入し、改ざん防止と検知体制を整えることこそが、信頼あるWeb運営の第一歩といえるでしょう。