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トピックス : WEBサーバー監視サービスF-PAT【ファイルパトロール】

2025年10月10日(金)

SQLインジェクションとは?今さら聞けないWebセキュリティの基本を徹底解説

近年、企業や個人のWebサイトが不正アクセスの被害に遭うニュースは後を絶ちません。その中でも、特に多くの被害を生み出してきた攻撃手法の一つが「SQLインジェクション」です。

この記事では、「SQLインジェクションとは何か」を明確にし、その仕組み・危険性・防止策をわかりやすく解説します。エンジニアはもちろん、Web担当者やサイト運営者にも理解しておいてほしい重要なセキュリティの基礎です。

SQLインジェクションとは?

まず、SQLインジェクションとは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用してデータベースに不正なSQL文を実行させる攻撃手法のことです。

通常、Webサイトではユーザーが入力したデータをデータベースに問い合わせて処理を行います。しかし、入力値の検証やエスケープ処理が不十分だと、攻撃者は入力欄に特殊な文字列(SQL構文)を混ぜることで、本来意図していないSQLコマンドを実行させることができます。

たとえば、以下のようなコードを考えてみましょう。

$query = “SELECT * FROM users WHERE username = ‘” . $_POST[‘username’] . “‘ AND password = ‘” . $_POST[‘password’] . “‘”;

このコードは、入力されたusernamepasswordを使ってデータベースを検索する処理です。
しかし、攻撃者が以下のような入力をした場合、どうなるでしょうか?

username: admin' --
password: (空欄)

SQL文は次のようになります。

SELECT * FROM users WHERE username = ‘admin’ — ‘ AND password = ”

--はSQLにおけるコメントアウトです。これにより、後半のパスワードチェックが無効化され、結果として攻撃者はパスワードなしで管理者アカウントにログインできてしまう可能性があります。
これがSQLインジェクションの基本的な仕組みです。

なぜSQLインジェクションが危険なのか

SQLインジェクション攻撃は、単なる「ログイン突破」だけでなく、もっと深刻な被害を引き起こします。代表的なリスクを挙げてみましょう。

1. 個人情報の漏えい

顧客情報、クレジットカード番号、メールアドレスなど、データベースに保存されているすべての情報が盗まれる危険性があります。
実際、過去の大規模情報漏えい事件の中には、SQLインジェクションを原因とするものが多数あります。

2. データの改ざん・削除

攻撃者は、データベース上の情報を削除したり、内容を書き換えたりすることも可能です。
つまり、サービス自体の信頼性を根底から揺るがす被害につながります。

3. サーバーの乗っ取り

SQLインジェクションを足がかりに、サーバーに侵入してシステム全体を掌握されるケースもあります。
この場合、被害はWebサイトだけでなく、ネットワーク全体に拡大します。

SQLインジェクションを防ぐための対策

では、どうすればSQLインジェクションを防げるのでしょうか?
ここからは、具体的な防止策を紹介します。

1. プレースホルダ(バインド変数)の利用

最も基本的で確実な対策は、SQLを直接文字列で組み立てないことです。
代わりに「プレースホルダ」を使い、値を後から安全にバインドする方法を取ります。

例(PHPのPDOの場合):

$stmt = $pdo->prepare(“SELECT * FROM users WHERE username = ? AND password = ?”);
$stmt->execute([$username, $password]);

これにより、ユーザー入力がSQL構文として解釈されることはなくなります。

2. 入力値の検証(Validation)

フォームやURLパラメータなど、外部から受け取るすべてのデータは必ず検証しましょう。
例えば、メールアドレスやIDが数字のみであるべきなら、正規表現で制限します。

3. エスケープ処理

SQL文を直接書く必要がある場合は、特殊文字をエスケープして無効化することも大切です。
ただし、これは補助的手段であり、プレースホルダを使う方が安全です。

4. エラーメッセージの制御

SQLエラーをそのまま画面に表示するのは危険です。
攻撃者にデータベース構造やテーブル名を推測される可能性があるため、ユーザー向けには一般的なエラーメッセージだけを返すようにしましょう。

5. WAF(Web Application Firewall)の導入

WAFを導入することで、SQLインジェクションのような攻撃パターンを検出・遮断できます。
ただし、WAFは「万能の防壁」ではなく、あくまでプログラムの安全設計を補う存在です。

セキュリティ対策は「後付け」では遅い

多くの開発現場では、機能開発のスピードを優先し、セキュリティ対策が後回しにされがちです。
しかし、SQLインジェクションのような攻撃は、発見されてから対処するのでは遅いのです。
一度でも情報漏えいが起これば、企業の信用は地に落ち、法的責任や損害賠償にも発展します。

セキュリティは「守り」ではなく「信頼を築くための戦略」です。
Webサービスを提供する以上、SQLインジェクション対策は必須の基礎体力といえるでしょう。

まとめ:SQLインジェクションとは”最も基本的かつ致命的な攻撃”

この記事では、「SQLインジェクションとは何か」を中心に、その仕組み・危険性・防止策を解説しました。

ポイントをまとめると以下の通りです:

  • SQLインジェクションとは、データベースに不正な命令を送り込む攻撃である
  • 個人情報漏えい、データ改ざん、サーバー乗っ取りなど、被害は深刻
  • 対策の基本は「プレースホルダの利用」「入力値の検証」「WAF導入」
  • セキュリティは後付けではなく、設計段階から考慮すべき

攻撃者は常に新しい手法を探し続けています。
だからこそ、開発者・運営者は「SQLインジェクションとは何か」を正しく理解し、安全なコードを書く文化を根付かせることが重要です。