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トピックス : WEBサーバー監視サービスF-PAT【ファイルパトロール】

2025年10月29日(水)

中小企業が取り組むべきセキュリティ対策10項目|今すぐ始める実践チェックリスト

中小企業こそセキュリティリスクが高い

近年、サイバー攻撃の標的は大企業だけではありません。実は中小企業こそセキュリティリスクが高いのです。理由は明確で、「セキュリティ対策に十分な予算や人員を割けない」ことが多いためです。その結果、脆弱なWebサイトや古いシステムを狙った攻撃が急増しています。

この記事では、限られたリソースでも実践できる「中小企業のWebサイト運営における最低限のセキュリティ対策10項目」を、具体的かつわかりやすく解説します。

1. HTTPS化(通信の暗号化)

いまやSSL/TLSによるHTTPS化は必須です。HTTPのままでは通信内容(フォーム送信やログイン情報)が第三者に盗み見られる恐れがあります。Googleも「HTTPSでないサイトは安全でない」と明示しており、SEO評価にも影響します。

無料で導入できる「Let’s Encrypt」や、信頼性の高い「RapidSSL」などを活用し、常にHTTPS通信を強制しましょう。さらに、全ページでHTTPからHTTPSへのリダイレクト設定を行うことも重要です。これにより、混在コンテンツ(HTTPとHTTPSの併用)を防ぐことができます。

2. ソフトウェアの定期更新

中小企業で最も多い被害原因が、古いCMSやプラグインの脆弱性です。WordPressやPHP、MySQL、OSなどを更新せずに放置すると、攻撃者が既知の脆弱性を突いて侵入してきます。

更新は多少の手間がかかりますが、攻撃を未然に防ぐ最も効果的な対策です。特にWordPressでは、プラグイン開発者がメンテナンスを終了している場合もあり、使用を継続すると危険です。定期的に不要なプラグインを削除し、信頼性のある開発者によるものだけを利用しましょう。

3. WAF(Web Application Firewall)の導入

近年の攻撃は自動化されており、日々大量の不正アクセスが行われています。WAF(Webアプリケーションファイアウォール)を導入すれば、SQLインジェクションやXSSなどの攻撃を自動的に検知・遮断できます。

クラウド型の「Cloudflare」や、レンタルサーバー標準の「SiteGuard WP Plugin」などを活用すれば、専門知識がなくても導入可能です。また、WAFのログを定期的に確認することで、どのような攻撃が発生しているかを把握し、他の対策に活かすこともできます。

4. 管理画面の保護

管理画面への不正ログインは、中小企業サイトでも頻発しています。「admin」「123456」などの初期パスワードのまま運用していませんか?

まずは管理者アカウントを限定し、2段階認証(ワンタイムコード)を導入することが重要です。さらに、管理画面URLを推測されにくいものに変更し、特定のIPアドレスからしかアクセスできない設定を行えば、リスクを大幅に減らせます。

5. 強固なパスワード運用

パスワードの強度は、セキュリティ対策の基本中の基本です。推測されやすい単語や誕生日を避け、英数字+記号を含む12文字以上を推奨します。

同じパスワードを複数のサービスで使い回すと、どこか1箇所で漏洩した際に全てのアカウントが危険にさらされます。パスワード管理ツール(Bitwardenや1Passwordなど)を活用し、安全に管理することをおすすめします。

6. 定期的なバックアップ

どんなに対策をしても、サーバー障害や改ざん被害はゼロにはできません。そのために必要なのが定期バックアップです。

サーバーやデータベースの自動バックアップをスケジュールし、可能であれば別サーバーやクラウドストレージ(Google Drive、Amazon S3など)にもコピーを保存しましょう。また、バックアップから復元できるかどうかのテストも定期的に行い、緊急時に慌てない体制を整えましょう。

7. ファイルアップロードの制限

問い合わせフォームやCMSのメディアアップローダーなどを通じて、攻撃者が不正なファイルをアップロードするケースがあります。これを防ぐためには、アップロード可能な拡張子を制限し、.php や .exe などの実行ファイルを拒否する設定が必要です。

さらに、アップロードファイルをWeb公開ディレクトリ外に保存し、必要な場合のみプログラム経由で表示する仕組みにすることで、攻撃リスクを大幅に減らせます。

8. アクセスログ・エラーログの監視

攻撃は一度きりではなく、段階的に行われることが多いです。日常的にアクセスログやエラーログを確認することで、不審な挙動を早期に発見できます。

たとえば「特定の国からの大量アクセス」や「存在しないURLへの連続リクエスト」があれば、すぐに遮断設定を検討すべきです。最近では、AIによるログ監視ツールも登場しており、人的負担を軽減できます。

9. メール認証(SPF/DKIM/DMARC)の設定

「自社ドメインを使ったなりすましメール」が急増しています。顧客や取引先に迷惑をかけないためにも、SPF・DKIM・DMARCを設定し、正当な送信者であることを証明しましょう。

特にECサイトや問い合わせフォームを運営している中小企業は、この設定をしていないと迷惑メール扱いされて届かないこともあります。サーバーやDNS設定に不安がある場合は、レンタルサーバー業者や専門家に相談するのも有効です。

10. 社員教育と運用ルールの徹底

最後に忘れてはいけないのが「人」の対策です。どんなに堅牢なシステムでも、社員が不用意にパスワードを共有したり、不審なメールを開封すれば意味がありません。

「機密情報を社外クラウドに保存しない」「パスワードをメールで送らない」「退職時に権限を削除する」など、社内ルールの整備と定期的な教育が不可欠です。実際の事例を交えながら教育することで、社員の意識も高まります。

中小企業でもできる、実践的セキュリティ対策

ここまで紹介した10項目は、すべて中小企業でもすぐに実施可能な対策です。難しい専門知識がなくても、基本を押さえるだけでセキュリティリスクは大幅に減らせます。

対策項目 主な目的
HTTPS化 通信の盗聴・改ざん防止
ソフト更新 脆弱性修正
WAF導入 攻撃遮断
管理画面保護 不正ログイン防止
強力パスワード アカウント保護
定期バックアップ データ復旧対策
アップロード制限 マルウェア防止
ログ監視 攻撃の早期発見
SPF/DKIM設定 メール信頼性向上
社員教育 ヒューマンエラー防止

 

中小企業にとって「セキュリティ対策=コスト」と思われがちですが、実際には被害に遭うコストのほうがはるかに高いのが現実です。小さな一歩でも構いません。今日からできることを一つずつ実践し、会社と顧客を守る安全なWeb運営を目指しましょう。