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トピックス : WEBサーバー監視サービスF-PAT【ファイルパトロール】

2025年11月13日(木)

ランサムウェアを知る ー あなたのビジネスを守るために今できること

1. 「ランサムウェア」とは何か

「ランサムウェア(Ransomware)」とは、コンピュータやサーバーに侵入し、ファイルを暗号化して使えなくし、元に戻してほしければ”身代金(ランサム)”を支払えと脅迫する、悪質なサイバー攻撃の一種です。「感染したら最後」とも言われるほど被害は深刻で、近年では大企業だけでなく、中小企業や個人事業者、自治体、医療機関まで幅広く狙われています。攻撃者は、メールの添付ファイルや不正なサイトへの誘導リンク、古いソフトウェアの脆弱性(ぜいじゃくせい)などを通じて侵入します。感染すると業務データが一瞬で暗号化され、システムが麻痺。

つまり「PCが動かない」だけでなく、「会社の業務そのものが止まる」――これがランサムウェアの怖さです。

2. 被害の実態:データが人質にされる時代

近年、日本国内でも「ランサムウェア被害」は急増しています。警察庁の発表によると、報告件数は過去5年で数倍に増加。製造業、建設業、医療業界など、インターネットに直接関わりがない業種でも多発しています。特に恐ろしいのが、「データの暗号化」だけでなく「情報の流出」もセットで行われる二重脅迫型の攻撃です。攻撃者は企業のサーバーから機密情報を盗み出したうえで、「支払わなければ情報を公開する」と脅します。結果として、金銭的損害だけでなく、「信用の失墜」「取引停止」「顧客離れ」といった二次被害が企業を直撃します。
こうした被害は、ニュースの中の話ではありません。

ここでは、実際に報道された事件をもとに再構成した架空モデルとして、3つのケースを紹介します。どの業種・企業にも起こり得る現実的なリスクとして捉えてください。

【モデルA】製造業:取引先を装ったメールから感染、操業停止へ

ある中堅製造業では、営業担当者宛てに届いた「新規発注書」と題するメールを開封したことがきっかけで、ランサムウェアに感染しました。添付されていたExcelファイルにはマクロ型マルウェアが仕込まれており、開いた瞬間に社内ネットワーク全体に拡散。数時間のうちに設計データや製造ライン制御システムが暗号化され、工場の操業が3日間ストップしました。
納品スケジュールの遅延により取引先との関係が悪化し、復旧費用と損害補填で数千万円の損失が発生。再発防止のためのシステム再構築にも多額のコストがかかりました。「ウイルス感染はメール1通からでも起きる」――この現実を突きつけられた事例です。

【モデルB】医療機関:患者情報の暗号化と流出

地方の中規模医療機関では、委託業者のVPN装置を経由して侵入されたケースがありました。院内サーバーに保管されていた電子カルテや検査データがすべて暗号化され、「復号と引き換えに暗号資産で支払え」というメッセージが画面に表示されたのです。さらに、攻撃者はデータの一部を外部に送信しており、「支払わなければ情報を公開する」という二重脅迫を実施。
患者情報が一部流出したことが判明し、病院は一時的に診療を停止せざるを得ませんでした。報道対応・信頼回復・セキュリティ監査のために多くの時間と費用を費やす結果となりました。

【モデルC】建設会社:サイト乗っ取りから広がった営業損失

ある建設関連企業では、自社Webサイトの管理を外部業者に委託していました。しかし、サイトのシステム(CMS)の更新が長期間行われておらず、脆弱性を突かれて不正アクセスを受けました。攻撃者は、サイト内に不正スクリプトを埋め込み、訪問者をマルウェア配布サイトへ転送。結果として、Googleなどの検索エンジンから「危険なサイト」と判断され、検索結果から除外されてしまいました。サイト経由での問い合わせが激減し、取引先からも「サイトが危険と表示されている」との連絡が相次ぎ、最終的に数ヶ月間、オンライン経由の営業活動がほぼ停止する事態に。
「Webサイトは会社の顔であり、信用そのもの」であることを痛感した事例です。

3. サイト改ざん・乗っ取りが”入口”になる

実は、ランサムウェアの被害は「メール」だけではありません。企業が運営する「Webサイト」も、攻撃の入口として利用されることがあります。

サイト改ざんの恐怖

Webサイトに不正アクセスされ、ページの一部が書き換えられる「改ざん」は、よくある攻撃の一つです。最初は見た目が少し変わるだけかもしれませんが、そこに「ウイルスを仕込んだスクリプト」や「不正リンク」を埋め込まれることがあります。結果として、そのサイトを訪れたユーザーが感染する”踏み台”になってしまうのです。

サイト乗っ取りのリスク

管理画面のパスワードが流出したり、脆弱なプログラムを放置したりすると、攻撃者に完全に乗っ取られるケースもあります。そうなると、サイト全体が攻撃者の手に落ち、メール送信サーバーとして悪用されたり、マルウェア配布の温床にされたりします。

つまり、「うちのサイトなんて狙われない」と思っていても、攻撃者にとっては”感染を広げるための便利な手段”なのです。

4. 揺らぐ信頼と企業の損失

ランサムウェアやサイト改ざんの被害が発覚すると、最も大きなダメージを受けるのは「信用」です。顧客から「この会社のサイトにアクセスしたらウイルスに感染した」と言われれば、その瞬間にブランドイメージは地に落ちます。パートナー企業からの取引停止、ネット上での評判拡散、報道対応…どれも中小企業にとって致命的な打撃です。たとえ復旧できたとしても、「再発防止策」「顧客への補償」「調査費用」など、目に見えないコストが膨れ上がります。多くの企業が「支払うしかなかった」と語るのは、そうした現実的な損害があまりに大きいためです。

5. ランサムウェアの侵入経路

被害を防ぐには、まず”どう侵入してくるのか”を知ることが大切です。主な経路は次の通りです。

メールの添付ファイル

「請求書」「発注書」などを装ったメールに添付されたファイルを開くと感染します。

不正なリンク・広告

SNSや広告などに仕込まれたURLをクリックすることで、マルウェアをダウンロードしてしまうケース。

古いソフトウェアの脆弱性

OSやCMS、プラグイン、ライブラリなどの更新を怠ると、既知の脆弱性を突かれて侵入されます。

リモートデスクトップの不正アクセス

テレワークや外部接続のために開けているRDPポートが突破される事例も多数あります。

パスワード流出・総当たり攻撃

同じパスワードを使い回していたり、簡単なものにしていると突破されるリスクが高まります。

6. では、どう守るか ― Webサイトとシステムの対策

ランサムウェアや改ざんを完全に防ぐ方法はありません。しかし、「被害を最小限にする」「侵入されにくくする」ための対策を講じることはできます。ここでは、特にWebサイトを運営する企業が実施すべき具体策を紹介します。

常にソフトウェアを最新に保つ

攻撃の多くは「既知の脆弱性」を突きます。更新を怠れば、攻撃者に”開いたドア”を提供するようなものです。

強固なパスワードと二段階認証

英数字・記号を組み合わせた強力なパスワードを使用し、二段階認証(2FA)を導入しましょう。

アクセス制限と通信の暗号化

管理画面やSSHは特定のIPからのみ許可し、SSL/TLSで通信を暗号化。無料のLet’s Encryptでも十分です。

定期的なバックアップ

外部環境やクラウド、オフラインでのバックアップを用意し、復元テストも忘れずに。

WAF(Web Application Firewall)の導入

不正アクセスや攻撃コードを検知し遮断。レンタルサーバーにも標準提供される場合が多いので活用を。

メールのフィルタリング強化

迷惑メールフィルタやアンチウイルスソフトを導入し、社員教育もあわせて行いましょう。

社員教育とセキュリティ意識の定着

どんなシステムも、最終的な防波堤は「人」です。定期的に研修を行い、危険メールの見分け方を共有しましょう。

7. 企業がいま、取り組むべきこと

経営者や管理者がまず行うべきことは、「うちも狙われるかもしれない」という前提に立つことです。攻撃者は業種や規模を選びません。むしろ「セキュリティ対策が甘い中小企業」こそ最も狙われやすいのです。次に、被害を受けたときの対応体制を整備しておくこと。

  • どこに連絡するか(専門業者・警察・ホスティング会社)
  • データのバックアップはどこにあるか
  • サイトを停止する基準はどうするか

これらをあらかじめ決めておくことで、実際の被害時に混乱を防げます。

8. 心構え ― 「守り」は信頼の証

ランサムウェアの脅威は、今後さらに進化していくでしょう。AI生成メールや巧妙な詐欺ページなど、人間の判断をすり抜ける攻撃が増えています。しかし、防御の基本は変わりません。「日々の更新」「正しい設定」「社内教育」――地道な積み重ねが、会社と顧客の信頼を守ります。あなたの会社のデータと信用を守るために、”いまできること”を、今日から始めましょう。